彼女が「みつけた」もの

「ミクビエント」タグ。わりとはっきりしたビートながら、落ち着いてすごく安らかな気持ちになれる曲。穏やかで噛みしめるようなミクさんの声が、歌詞ともぴったりです。曲・詞ともに、Ayumiさん。

 

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とってもシンプルな歌詞。

でも不思議な展開で、

ぽつりぽつりと反対の言葉が並びます。

 

「うかぶ」と「しずむ」、

「あるく」と「とまる」。

 

「わらう」と「おこる」、

「つかむ」と「はなす」。

 

いわゆる対義語の繰り返し。

しかも断片的な。

 

なんだろう?と思わせておいて、

彼女はやがて結ぶのでした。

 

「ぜんぶわたし」。

 

反対のもの、矛盾するもの、

どれもこれもが合わさって生きているもの。

 

『Eureka (見つけた) 』。

 

「それがわたし」。

「それでわたし」なのです。

 

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たったこれだけの歌詞で、

"どうつながるんだろう?" と思わせる、静かなサスペンス感。

 

それだけで十分素敵なのですが、

もうひとつ気づいたことがあります。

 

というのも、よく聴くと、

反対語の順番が入れ替わっているんです。

 

「うかぶしずむ」が、「しずむうかぶ」というふうに。

 

とすると、ただの反対語というより、

行ったり来たりの周期的なリズムがあるんじゃないでしょうか。

 

浮かんで、沈んで、また浮かんで、

笑ったり怒ったりを繰り返しながら、

歩き出しては立ち止まり、でもふたたび歩き出し、

何かを掴み、何かを手放し、そしてまた掴んで。

 

――それは、矛盾のなかの "葛藤" というより、

おだやかな波のように "たゆたっている" みたいです。

 

でもそれこそが彼女の見つけた「わたし」、

知らないうちに矛盾のなかで生きてゆらめく「わたし」、

というものなのかもしれません。